メトラスでは乳がん・子宮頸がんの検診を推進してきました。2025年は新たに、「ポリープを取れば予防できるがん」である大腸がんに注目し、特に抵抗感を抱きや すい内視鏡ではなく、大腸CTを活用することで受診率を高める方策を進めています。
本取り組みでは、40歳以上の社員を対象に、会社が検診費用を全額負担し受診を促進します。
大腸がんは日本で最も罹患者数の多いがんで、年間約15万人の方が新たに大腸がんになり、約5万人の方が亡くなっています。(※1)
女性ではがん死亡原因の第1位、男性でも2位に位置する重大な疾患です。早期には自覚症状がほとんどなく、血便や腹痛などが現れた時にはすでに進行していることも少なくありません。
発症の背景には、遺伝要因に加えて喫煙・飲酒・肥満・運動不足といった生活習慣が深く関わっており、誰にとっても身近なリスクとなりますが、早期に発見できれば5年生存率が非常に高く(約95%)、多くの場合で長期的な治癒が期待できると言われています。(※2)
だからこそ、定期的な検診こそが早期発見と予防のカギとなります。
CT検査という選択
大腸がん検診のゴールドスタンダードは大腸内視鏡検査です。しかし、特に女性にとって「内視鏡を入れることへの抵抗感」が大きなハードルとなり、検診受診率の低下を招いています。そこで、私たちは大腸CT検査を大腸内視鏡の前に行う非侵襲的な検査として位置づけることで受診の機会を社員に提供します。大腸CTは、内視鏡を使わずにCTで撮影した画像を3D処理し、大腸内の病変を確認できる検査です。がんの検出率は内視鏡と同程度であり、検査時間が短く身体的負担も少ないことから、受診の心理的ハードルを下げることができます。これにより、従来は検診を避けがちだった女性や内視鏡に抵抗を感じる人々にも受診のきっかけを提供できると考えています。
大腸CT 検査とは
炭酸ガスを注入して、大腸を膨張させてからCT撮影を行います。癒着や腸が長いために内視鏡検査が難しい方でも検査が可能です。
注入した炭酸ガスは速やかに吸収され、検査後の腹痛もほとんどありません。約10~15分程度で検査は終了します。また、腸管洗浄剤もより少なめの摂取で済みます。
―一般的な大腸の検査と比べて、CT検査ならではの良さは何でしょうか?
「大腸CTの最大の特徴は苦痛や侵襲が少ないことです。大腸内視鏡では腸を完全にきれいにするため大量の下剤を飲む必要がありますが、CTでは少量の下剤とバリウム製剤で済み、前処置の負担が軽減されます。検査自体も直腸に細いチューブを10cm程度挿入するのみで、痛みや腸管穿孔のリスクが低く、鎮静剤も不要です。10分前後で終了するため身体的負担は少ないです。
また、大腸全体の評価がしやすい点も特長です。内視鏡では狭窄や癒着により奥まで入らなかったり、ヒダの裏側の病変が見えにくいこともありますが、CTでは大腸全体を立体的に確認できます。さらに、大腸だけでなく肝臓や膵臓などの腹部臓器も同時に評価できる点もメリットです。」
―検査を受けた患者さんからはどんなお声が多いですか?
「多くの方が『内視鏡に比べて痛みが少なく、とても楽だった』とおっしゃいます。内視鏡検査では1.5~2リットルの洗浄液を飲む必要があり苦痛を伴いますが、大腸CTでは400ml程度の服用で済むため、その点でもご負担が少ないとご好評いただいています。」
―初めての方に安心していただくための工夫はありますか?
「できるだけリラックスして臨んでいただけるように、コミュニケーションを大切にしています。チューブ挿入時は女性看護師が対応し、プライバシーに配慮しています。また、おなかの張り具合を確認しながらゆっくり体位を変えることで、不安なく検査を受けていただけるよう工夫しています。」
―検査結果が分かるまでの流れは?
「画像は2名の医師で慎重に診断を行い、結果は検査日から10~14日後に郵送します。また、ご希望に応じて検査日から3か月以内に無料で面談説明も可能です。」
―今後の大腸がん検診におけるCTの役割は?
「大腸CTは低侵襲で健常者向けの検診に適しているため、検診参加率を上げる手段になると考えています。一次スクリーニングとしてCTを活用し、病変が見つかった場合には内視鏡やMRIで精密検査を行うという流れが理想です。これにより効率的に病気を早期発見し、患者さんのQOL向上につなげられるでしょう。」
岩佐先生のお話からも、大腸CT検査は「苦痛を最小限にしながら、大腸がんの早期発見を可能にする有効な選択肢」であることが分かります。従来の大腸内視鏡検査と比べて身体的な負担が少なく、日常生活を大きく崩すことなく気軽に受けられるのが特徴です。
さらに、大腸だけでなく腹部全体の病変の早期発見にも役立つため、定期的に自分の体を見つめなおす手段としても、身近に取り入れやすい検査方法といえるでしょう。
大腸がんは自覚症状が乏しく、気づいたときにはすでに進行していることも多いため、定期的な検診が何より重要です。
メトラスの取り組み
今回の社内検診にあわせて、社内外へのがん検診の啓発も実施します。
がん予防に関する正しい知識の普及や早期発見・早期治療の重要性を広めるための活動として、大腸がん啓発カラーである「ブルー」をテーマとした取り組みを展開します。「がん征圧月間」「がん検診受診率向上に向けた集中キャンペーン月間」である9月から10月は、「dress in blue」を推奨し、社員がブルーリボンのバッジを身に着けます。また、本社エントランスにはPOPを掲示し、来客や社員に大腸がん検診の大切さを広く訴えていきます。
社員は、国立がん研究センターの公開情報を教材として、大腸がんについて主体的に学びます。学んだ内容については、全社員で共通の設問に回答し、理解度を可視化し、正答率80%を目指します。これにより、医療に関わる者として、単なる知識習得にとどまらず、全社一丸となって正しい知識を広め、社員とその家族、そして社会全体の健康意識向上に貢献してまいります。
このように、私たちは「大腸がん検診を特別なイベントとしてではなく、日常の健康習慣として根付かせること」を目指します。
その他の社員の健康を支える取り組み
当社では、社員が安心して健康管理に取り組めるよう、各種検診制度を整えています。
- 40歳以上の希望者には、年1回の胃カメラ検査を無料で実施
- 全ての女性社員を対象に、子宮頸がん検診を無料で実施
- HPVワクチンについては、接種費用の半額を会社が負担
こうした制度を通じて、社員一人ひとりが自分の体と向き合い、病気の早期発見・予防につなげられる環境づくりを進めています。
提携施設のご紹介
AIC八重洲クリニック
東京都中央区日本橋2-1-18 AIC八重洲クリニックビル